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April 10, 2005

女王様 中村うさぎ

オレ、女王様のファンだ。週刊文春を買ってしまう80%の理由は彼女のエッセイだ。
女王様のドキュメンタリーを発見した!と思ったらもう終わってしまっていた...

『UTAKATA ウタカタ』〜女王・中村うさぎ 愛のショック療法
予告編
情報サイト

女王様は体を張って自らを赤裸々にして観察し、やっと見えたものを民草に惜しげもなく語ってくれるのだ。その態度は誠に真摯。あー、またしても安吾か。それにしても彼女のエッセイはいい。論理的で過不足なく、文体も美しい上に、サービス精神も満点だ。手元に一冊の文春がある。
「さすらいの女王 330回 深夜二時、六本木で」だ。以下抜粋:

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二月初旬の深夜、布団の中で眠りにつく準備をしていた女王様は、突然....

女王様、目の前を通り過ぎる美男をみすみす見逃すことはあっても....

我ながらつくづく鬼気迫る図であることよ。....

一時期はいろいろと落ち込んで、....

本人は化け猫よろしく舌を鳴らして蟹の甲羅をしゃぶり...

....そんなの知ったこっちゃないよ。腹の底からこみ上げてくるこの恍惚感を....

生きることは、それなりに複雑なことではあるのだが、その一方で....

金で買える幸福だって捨てたもんじゃないのよ。....

こうして深夜の蟹食い婆は、至福の笑みを浮かべて闇の中に消えていった。片手に、夫への土産の炒飯を携えて。家で待つ夫は、彼女にとって「金で買えないほうの幸福」なのである。

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エッセイは抜粋するもんじゃない、という話。


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Posted by morio at April 10, 2005 09:01 AM