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April 12, 2005

ドミナント

ある唱歌をアレンジしている。まったく聞いたことのない曲だ。ネットで資料を探してみると「戦前の日本人なら知らない者がない唱歌」という。思い出深いエピソードもいくつか見つけた。いくつかMIDI音源も聞いてみた。短調にアレンジしてるのもあったが、ほとんど長調だった。ダークダックスだろうか?オーディオも聞いた。これは素晴らしかった。

このメロディーはペンタトニック(ド・レ・ミ・ソ・ラ)のみで成立している。ペンタトニックの曲はシンプルにも複雑にもアレンジできる。まずはコードをつけてみたが、何かしっくりこない。イマイチだなと思いながら、ディスプレーで見ていてふと気がついた。



これで1コーラス(2/4拍子、24小節)。サファイア色にしたのは高音部の「ド」だ。「ド」は音楽用語で「トニック音」と言う。単音として一番安定した音だ。愛しき我が家。太陽系に例えると太陽。ただ、他の音が重ねられるといきなり話はやっかいになってくる。

見て分かるようにピアノの右手は、しょっちゅう「ド」を押さえていることになる。それに気付いて聞き返してみると、「ド」ばかりヤケに聞こえて全体として聞けなくなっちゃった。まだまだ時間がかかるが、こりゃ、少し休憩しないとワケわからん状態、ということでこれを書いている。

この図の場合、右手の「ド」が途切れている部分はコード的に「ドミナント」である。要するに現時点ではほとんどドミナントコードを使ってないことになる。ドミナントコードというのは、端的に言うと非常に不安定なコードということになってしまうが、実はすぐ次に安定を予期させるものである。という意味では、逆に希望を持てる時間のことである。多くの場合、ちゃんと期待したものが来てくれる。が、時にそれが裏切られることもある。それが驚きだったり、カッコよさだったりする。

特に古い曲に対して思うのだが、メロディーは世界を持っている。アレンジャーはメロディーの世界を探り、自分なりに消化して形にする。探るというのと消化するというのは同義かもしれない。

音楽の不思議や歌詞についても書きたかったが、時間がないのでまたいずれ...

Posted by morio at April 12, 2005 04:35 AM